最終更新:2026 年 10 月 6 日
温室効果ガスインベントリは排出量を集計・算定・分析する作業であり、インベントリ登録は法定データを主管機関のプラットフォームに提出する手続きです。まず「登録・検証が必要な対象」か「登録が必要な対象」かを特定し、期限、適用指針、係数を確認しましょう。自主的な算定報告書をそのまま法定申告書類として扱わないことが大切です。
登録が必要なのは?まず2種類の公告を確認
法的義務は公告に示された業種、工程、基準値で決まります。排出量や会社名だけでは判断できません。既存の第1次・第2次の検証対象に加え、対象拡大の公告もあるため、登録と検証の責任をそれぞれ確認します。
| 対象 | 判断のポイント | 必要な手続き |
|---|---|---|
| 第1次対象 | 発電、鉄鋼、石油精製、セメント、半導体、TFT-LCDなどの指定工程、または事業所全体の化石燃料燃焼による年間排出量が 2.5 万トン CO₂eに達する排出源 | 公告の条件に従い算定・登録・検証を実施 |
| 第2次対象 | 製造業で、事業所全体の化石燃料燃焼による直接排出と電力使用による間接排出の合計が 2.5 万トン CO₂eに達する場合 | 2023 年 1 月 1 日から算定・登録・検証の対象 |
| 対象拡大 | 別途公告に従い、業種、エネルギー使用量、店舗、車両、病院の認定などの条件を照合 | 算定・登録を実施し、検証の要否は指定された義務を別途確認 |
既存の第1次・第2次対象は、2024 年 2 月 22 日の改正公告と付表に基づき判断します。指定工程には設備や生産に関する条件がある場合もあるため、付表を直接確認し、業種名だけを根拠にしないでください。
第2次対象の適用開始日は、環境部の公告概要でも確認できます。過年度の申告期限と現行の期限は区別して確認してください。
台湾の環境部(Ministry of Environment)の2025 年 3 月 4 日の対象拡大公告は、条件を満たす対象に対し、2026 年から前年度のインベントリ登録を完了するよう求めています。対象には一部のサービス業、運輸業、病院、大学・高等教育機関、製造業が含まれます。同じ業種でもエネルギー使用量などの条件で判断が異なります。すべての企業に一律に検証義務を追加するものではありません。
登録期限と利用するプラットフォームは?
原則として毎年 4 月 30 日までに前年度のインベントリと報告書を登録します。公告で検証を義務付けられた対象は、さらに 10 月 31 日までに検証結果をアップロードします。2つの期限は異なる作業に対応するため、「温室効果ガス排出量インベントリ登録・検証管理規則」第 6、8、9 条に従って予定を組んでください。
| 作業 | 一般的な期限・要件 | 提出内容 |
|---|---|---|
| 年次インベントリ登録 | 毎年 4 月 30 日まで | 前年度の排出インベントリと算定報告書 |
| 検証が必要な案件 | 環境部の許可を受けた検証機関が実施 | インベントリと報告書の検証 |
| 検証結果のアップロード | 毎年 10 月 31 日まで | 検証総括報告書、検証声明書、必要な修正資料 |
| データの保存 | 関連資料を6年間保存 | 算定・登録・検証に関する裏付け資料 |
法定登録の窓口は、事業者温室効果ガス排出量情報プラットフォームです。アクセス後は初めての利用者向け案内でアカウントと申請手順を確認し、対象区分に応じた算定システムに進みます。提出後は案件の状態、年度、添付ファイルの版を確認し、送信記録を残しましょう。下書き保存は登録完了ではありません。
検証結果が当初の登録内容と異なる場合、第 9 条は修正後のインベントリと報告書のアップロードを求めています。保存年限は第 14 条に従います。個別の延長や特定年度の通知はプラットフォームで確認し、コンサルタントの予約日や社内の完了日を法定期限の代わりにしないでください。
ISO 14064-1のカテゴリ1~6とは?
カテゴリ1~6は組織の排出を分類し、直接排出と発生源の異なる間接排出を区別するものです。台湾の法定登録項目とは別の名称体系であり、分類表を完成させただけで申告要件をすべて満たしたと判断することはできません。
| カテゴリ | 意味 | 特定の観点 |
|---|---|---|
| 1 | 直接的な温室効果ガス排出・除去 | 組織が所有または管理する排出源 |
| 2 | 輸入エネルギーによる間接排出 | 外部購入エネルギーに由来する間接排出 |
| 3 | 輸送による間接排出 | 組織境界外の関連する輸送活動 |
| 4 | 組織が使用する製品による間接排出 | 組織が購入・使用する商品やサービスに伴う排出 |
| 5 | 組織の製品の使用に関連する間接排出 | 組織が提供する製品の使用に関する活動 |
| 6 | その他の発生源による間接排出 | 上記に分類されないその他の間接的な発生源 |
分類名の根拠は、ISOによるISO 14064-1の6カテゴリの公式解説です。組織境界内の直接排出は定量化して報告します。間接排出は重要性の特定と適用要件に従って範囲を決め、判断の根拠を残す必要があり、データの入手が難しいという理由だけで省略できません。重要性の考え方は、国土管理署が公開する算定ハンドブックの排出源特定の解説を参照してください。
台湾の法定インベントリについては、管理規則第 3 条が、固定・移動燃焼、工程、漏えいによる直接排出と、外部購入電力・蒸気によるエネルギー間接排出を定めています。独自の「重要ではない」という評価を法的要件の代わりにはできません。顧客にスコープ1・2・3も説明する場合は、GHG Protocolのスコープ分類とISOカテゴリの対応を読み、データの対応関係を別途確認してください。
排出係数はどの版を使う?
算定年度、排出源、法定の計算方法に応じて係数を選び、ファイル名が最も新しいという理由だけで選んではいけません。公告日、活動データの年度、係数の適用年度は別々に記録し、過年度のデータに新しい係数を無条件に適用することも避けましょう。
根拠となる管理規則第 4 条によると、排出係数法では主管機関の公告係数、または規定に適合する国際文献や試験報告書による自社係数を使用できます。燃料燃焼には低位発熱量も関わります。係数表を調べる際は、設備の用途、燃料種、ガス種、単位、版、出典を順に記録し、確認者が同じ行を参照できるようにしましょう。
例えば環境部の2024 年 6 月 6 日の行政解釈通知は、2023 年の排出量について 6.0.4 版の関連係数を使用すると明記しています。これはその年度についての根拠であり、以降の年度にもすべて適用できる、あるいはすべての旧版の使用が禁止されているとは解釈できません。詳しくは、6.0.4と公告係数の適用年度をご覧ください。
プラットフォームから公告排出係数と項目別解説を取得し、年度別発熱量、電力排出係数、適用される行政解釈も別途確認します。2026 年に公表された資料でも、どの活動年度を扱っているのかを確認してください。確認方法は、公告係数の年度・排出源・単位の照合にまとめています。
作業ガイドラインはどこでダウンロードし、どう選ぶ?
環境部のプラットフォームの「インベントリ指針と試算」から、自社の規制対象区分に応じた資料を選びます。第1次・第2次対象の製造業向け指針と、対象拡大の業種別指針は別々に提供されています。適用公告と一緒に保存することをお勧めします。
インベントリ登録・検証対象向け作業ガイドラインでは現在、「温室効果ガス排出量インベントリ作業ガイドライン」の2024年(民国113年)版の製造業向け資料が提供されています。インベントリ登録対象向け作業ガイドラインにはサービス業、運輸業、病院、大学・高等教育機関などの資料が別途掲載され、製造業は対応する製造業向け指針を参照します。民国113 年は 2024 年であり、資料の年と今回算定する排出量の年度は同じとは限りません。
まず適用範囲、境界、排出源、データと係数、報告、検証の章を読み、各要件を会社が提供できるデータに対応付けましょう。指針や法規に規定がある事項は優先して従います。規定のない事項については、プラットフォームの説明では国際規格や国家規格の最新版などを参照できます。
ダウンロード日とファイルの版を記録すると、担当者ごとに異なるインベントリ様式を使うことを防げます。これは文書管理上の推奨事項であり、指針をダウンロードしただけで法令適合性の判断が完了するわけではありません。実際の業種、排出源、申告目的に応じて個別に照合する必要があります。
登録前に用意するものは?
中心となるのは排出インベントリ、算定報告書、計算を裏付ける原始データです。管理規則第 7 条では報告内容として基本情報、排出源、手法、データの出所などを定めており、一部の非製造業には別の対応要件があります。
提出前チェックリストを作成し、年度の一致、全規制対象拠点の網羅、購入エネルギーの漏れ、計算単位の整合、報告書とインベントリの版の一致、必要な検証の手配を確認しましょう。部門間で使用量が異なる場合は、まず範囲と期間を確認してから集計を修正し、単に平均値で差異を消さないようにします。
法定登録では、データ、手法、結果の関係を説明できることが重要です。管理規則第 7、9、14 条は報告、修正、保存の要件を定めています。インベントリ番号を請求書、試験記録、運転記録に紐付け、補正や検証の際に原資料を見つけられるようにしましょう。
次のステップ:登録要件を企業の算定作業に落とし込む
まず適用公告と申告年度を確認し、データ提供、算定、検証の担当を決めます。企業での着手手順が必要な場合は、続けてカーボンインベントリの5ステップとツールの選び方をご覧ください。本ページは法規とダウンロード先の索引としてご利用いただけます。
ツールによる支援が必要な場合は、SustaihubのDCarbonによる組織のカーボンインベントリ自動化、AI伝票アシスタント、AI算定報告書をご確認ください。システムはデータ整理と算定を支援しますが、内容の確認は企業が担い、正式な検証は第三者機関が実施します。
炭素管理の基礎知識シリーズ
カーボンインベントリを起点に、必要に応じて法規、費用、排出削減目標へ理解を広げましょう:
- カーボンインベントリとは?企業の算定・報告の5ステップ、法規制とツールの選び方
- 温室効果ガスインベントリ:登録が必要な企業は?日程、作業ガイドライン、カテゴリ1~6(本稿)
- 台湾の炭素賦課金とは?料率、徴収対象、計算方法、納付日程
- カーボンフットプリントとは?製品の算定、ISO 14067、排出係数の調べ方
- スコープ1・2・3とは?スコープ3の15カテゴリとISO 14064-1の分類対応
- カーボンクレジットとは?台湾の取引、価格、炭素賦課金への充当ルール
- ネットゼロ排出とは?台湾の2050年ネットゼロへの道筋と企業の第一歩
- カーボンニュートラルとは?ISO 14068-1、2026年新版、環境部の宣言ガイドライン
