最終更新:2026 年 10 月 6 日
台湾企業が把握すべきサステナビリティ法規制は、2 つの系統に分かれます。一つは金融監督管理委員会(Financial Supervisory Commission、FSC)、台湾証券取引所(Taiwan Stock Exchange、TWSE)、台北取引所(Taipei Exchange、TPEx)が所管する情報開示で、サステナビリティレポート、IFRS サステナビリティ開示基準、ESG 評価が含まれます。もう一つは環境部(Ministry of Environment)が所管するカーボンマネジメントで、温室効果ガスインベントリ登録、炭素賦課金、削減クレジットが含まれます。特によく使う期限は、TWSE・TPEx 上場企業の ESG 情報提出が毎年 6 月末、サステナビリティレポート提出が 8 月 31 日、管理対象排出源の前年度排出量登録が毎年 4 月 30 日、炭素賦課金義務者の前年度分の申告・納付が毎年 5 月末です。
下表では、8 つの制度の所管機関、適用対象、直近の重要日程を示しています。各節では要点を説明し、当サイトの詳しい解説へリンクしています。本文中の専門用語は、サステナビリティ用語集で確認できます。
台湾のサステナビリティ法規制一覧
| 法規制/制度 | 所管機関 | 適用対象 | 直近の重要日程 | 関連記事 |
|---|---|---|---|---|
| TWSE・TPEx 上場企業のサステナビリティレポート | 台湾証券取引所、台北取引所(FSC が監督) | すべての TWSE・TPEx 上場企業 | 2027 年 8 月 31 日までに 2026 年度レポートを提出 | 作成・提出規則の改正ポイント |
| IFRS サステナビリティ開示基準 | FSC | 調整後は TWSE・TPEx 上場企業約 560 社に強制適用 | 2027 年に第 1 段階の企業が 2026 年度のサステナビリティ専章を提出 | 第 3 段階の調整 |
| コーポレート・ガバナンス評価/ESG 評価 | TWSE コーポレート・ガバナンスセンター | TWSE・TPEx 上場企業 | 2027 年 4 月末までに第 1 回 ESG 評価結果を公表 | ESG 評価の 75 指標 |
| 温室効果ガスインベントリの登録と検証 | 環境部 | 環境部が公示する排出源を有する事業者 | 2026 年 10 月 31 日までに検証結果をアップロード。2027 年 4 月 30 日までに 2026 年度排出量を登録 | 温室効果ガスインベントリ登録 |
| 炭素賦課金 | 環境部 | 年間排出量が 2.5 万トン CO₂e 以上の電力・ガス供給業および製造業 | 2027 年 5 月末までに 2026 年度炭素賦課金を申告・納付 | 炭素賦課金 |
| 排出係数と電力排出係数 | 環境部、経済部エネルギー署 | 排出係数法でインベントリを作成するすべての事業者 | 2026 年 6 月 2 日に 2025 年度(民国 114 年度)電力排出係数を公表済み | 2025 年度(民国 114 年度)電力排出係数 |
| 公開情報観測所/ESG デジタルプラットフォーム | 台湾証券取引所、台北取引所 | TWSE・TPEx 上場企業 | 2027 年 6 月末までに ESG 情報を提出 | ESG 申告の総合ガイド |
| カーボンクレジットと国内削減クレジット | 環境部、台湾カーボン取引所 | 削減クレジットを取得する、または必要とする事業者 | 炭素賦課金の控除に使う場合は、2027 年 5 月末までに併せて申請 | 台湾のカーボンクレジット |
1. TWSE・TPEx 上場企業のサステナビリティレポート
台湾証券取引所の「TWSE 上場企業のサステナビリティレポート作成・提出規則」と台北取引所の「TPEx 上場企業のサステナビリティレポート作成・提出規則」では、2025 年から払込資本金が 20 億台湾ドル未満の企業も作成対象となりました(2025 年に 2024 年度レポートを提出)。すべての TWSE・TPEx 上場企業は GRI スタンダードに基づく中国語版サステナビリティレポートを毎年 8 月 31 日までに提出し、作成・保証の手続きを内部統制に組み込む必要があります。食品、化学、金融などは業種別のサステナビリティ指標を開示し、公認会計士の保証も受ける必要があります。TWSE の規則の直近の改正日は 2026 年 5 月 18 日です。IFRS サステナビリティ開示基準を適用し、年次報告書で関連情報を開示済みの企業は、一部の重複開示を免除されますが、レポートの作成・提出は引き続き必要です。
- 適用対象:すべての TWSE・TPEx 上場企業。
- 重要日程:毎年 8 月 31 日までに前年度レポートを提出。次回は 2027 年 8 月 31 日(2026 年度分)。
- 所管機関:台湾証券取引所(TWSE 上場)、台北取引所(TPEx 上場)。FSC の監督を受けます。
- 公式出典:TWSE 上場企業のサステナビリティレポート作成・提出規則、TWSE のサステナビリティレポート規定改正に関するプレスリリース、TPEx サステナビリティレポートの準備・作成ハンドブック。
- 当サイトの関連記事:サステナビリティレポート作成・提出規則の改正ポイント、サステナビリティレポートとは、2024 年度サステナビリティレポートのレビュー結果。
2. IFRS サステナビリティ開示基準の台湾導入スケジュール
FSC は 2023 年 8 月 17 日に導入ロードマップを公表しました。TWSE・TPEx 上場企業は払込資本金に応じて、年次報告書の専章でサステナビリティ関連財務情報を段階的に開示します。100 億台湾ドル以上は 2026 会計年度、50 億台湾ドル以上 100 億台湾ドル未満は 2027 会計年度、その他は当初 2028 会計年度からの適用予定でした。2026 年 9 月 23 日、FSC と環境部は、強制適用を 1,970 社から約 560 社へ変更すると発表しました。内訳は、払込資本金 20 億台湾ドル以上の約 535 社と、環境部のインベントリ登録・検証義務の対象となる約 25 社です。その他の企業にも、気候ガバナンス、リスク管理、Scope 1・2 排出などの基本情報開示は引き続き求められます。FSC の計画では、第 3 段階の企業は導入から最初の 2 年間、気候情報のみを開示し、Scope 3 は一時的に免除されます(自主開示は可能)。導入当初 2 年間の移行期間中、サステナビリティ専章を 3 月末に財務報告と同時に提出できない場合、最も遅い場合でも年次報告書の期限(株主総会の 14 日前)までに同報告書と併せて提出できるよう緩和する方針です。FSC は 2026 年末までに年次報告書基準と関連通達を改正する予定で、実際の規定は正式な公表内容に従います。
- 適用対象:調整後は TWSE・TPEx 上場企業約 560 社に強制適用し、その他の上場企業は気候の基本情報を開示します。金融、保険、証券・先物業は今回の調整の対象外です。
- 重要日程:第 1 段階は 2026 会計年度に初適用し、2027 年に提出します。2030 年に適用範囲と免除措置を再検討する予定です。関連法規の改正は正式な公表内容に従います。
- 所管機関:金融監督管理委員会(今回の調整は環境部と共同発表)。
- 公式出典:FSC 2026 年 9 月 23 日プレスリリース、TPEx の IFRS サステナビリティ開示基準導入ページ:台湾の導入ロードマップ。
- 当サイトの関連記事:IFRS 第 3 段階の調整と 4 つの移行措置、IFRS S1/S2 の台湾導入スケジュール、サステナビリティ専章と年次報告書の提出。
3. コーポレート・ガバナンス評価と ESG 評価
TWSE コーポレート・ガバナンスセンターのコーポレート・ガバナンス評価は、FSC の「上場企業の持続可能な発展行動計画(2023 年)」に基づき環境・社会課題を拡充し、2026 年度(民国 115 年度)から「ESG 評価」に改称されました。移行前の第 12 回(2025 年度、民国 114 年度)コーポレート・ガバナンス評価の結果は、2026 年 4 月 30 日に公表済みです。第 1 回 ESG 評価は 2026 年の通年を対象とし、計 75 指標で、環境 16 指標(配点比率 21%)、社会 23 指標(31%)、ガバナンス 36 指標(48%)で構成されます。新設指標には循環経済、エネルギー利用、生物多様性、自然の炭素吸収源、人権デューデリジェンス、投資家エンゲージメントなどが含まれます。結果公表は 2027 年 4 月末までの予定で、それ以前には第 1 回 ESG 評価のランキングはありません。
- 適用対象:TWSE・TPEx 上場企業。
- 重要日程:評価期間は 2026 年の通年。第 1 回の結果は 2027 年 4 月末までに公表予定です。
- 所管機関:TWSE コーポレート・ガバナンスセンター(FSC の持続可能な発展行動計画に基づき推進)。
- 公式出典:TWSE ESG 評価ページ、2026 年度(民国 115 年度)ESG 評価制度改正の総合説明、第 1 回 ESG 評価指標に関するプレスリリース、第 12 回評価の表彰と新制度の説明。
- 当サイトの関連記事:TWSE ESG 評価の 75 指標、2026 年(民国 115 年)ESG 評価で上位を目指すガイド、第 12 回コーポレート・ガバナンス評価結果の解説。
4. 気候変動対応法と温室効果ガスインベントリ登録
「気候変動対応法」は 2023 年 2 月 15 日に改正・公布され、第 21 条で、環境部が公示する排出源のインベントリ作成と排出量登録を義務付け、指定対象には検証も求めています。現在、対象を定める公告は 2 件あります。2024 年 2 月 22 日改正の「事業者による温室効果ガス排出量のインベントリ登録および検証を要する排出源」は、指定業種の工程に加え、化石燃料燃焼による排出、または製造業の工場全体の直接排出と電力使用による間接排出の合計が 2.5 万トン CO₂e 以上の対象を含みます。2025 年 3 月 4 日公示の「事業者による温室効果ガス排出量のインベントリ登録を要する排出源」は、電力使用量、店舗数、車両数などの条件により、2026 年から一部のサービス業、大学・高等教育機関、医療センター、運輸業、その他の製造業を登録対象に加えます。毎年 4 月 30 日までに前年度排出量を登録し、検証対象者は 10 月 31 日までに検証結果をアップロードします。
- 適用対象:環境部の 2 件の公告に記載された排出源を有する事業者。2025 年公告の新規対象は、インベントリ作成・登録のみが必要です。
- 重要日程:2026 年 10 月 31 日までに検証結果をアップロードし、2027 年 4 月 30 日までに 2026 年度排出量を登録します。
- 所管機関:環境部(実務は気候変動署が担当)。
- 公式出典:気候変動対応法、温室効果ガス排出量のインベントリ登録および検証管理規則、事業者による温室効果ガス排出量のインベントリ登録および検証を要する排出源、インベントリ対象拡大の公告と実務ガイド。
- 当サイトの関連記事:温室効果ガスインベントリ登録のスケジュールと分類、カーボンインベントリとは、環境部によるカーボンインベントリ義務化対象の拡大。
5. 炭素賦課金
「炭素賦課金徴収規則」による徴収対象は、インベントリ登録・検証義務のある排出源を有し、工場全体の直接排出と電力使用による間接排出の年間合計が 2.5 万トン CO₂e 以上の電力・ガス供給業と製造業です。環境部は 2024 年 8 月 29 日に徴収規則などの関連規定を公布し、2024 年 10 月 21 日に料率を公示、2025 年 1 月 1 日に発効しました。一般料率は 1 トン CO₂e 当たり 300 台湾ドルです。自主削減計画の承認を受け、業種別の指定削減率を満たす場合は優遇料率 A の 50 台湾ドル、技術ベンチマークを満たす場合は優遇料率 B の 100 台湾ドルが適用されます。2025 年の排出量について 2026 年に初めて納付し、その後は毎年 5 月末までに前年度分を申告・納付します。課金対象排出量はまず K 値を控除し、一般事業者の K 値は 2.5 万トン、カーボンリーケージリスクの高い事業者はゼロです。
- 適用対象:年間排出合計が 2.5 万トン CO₂e 以上の電力・ガス供給業および製造業。
- 重要日程:毎年 5 月末までに前年度分の炭素賦課金を申告・納付。次回は 2027 年 5 月末まで(2026 年度分)。
- 所管機関:環境部(気候変動署)。
- 公式出典:炭素賦課金徴収規則、気候変動署の炭素賦課金ページ。
- 当サイトの関連記事:炭素賦課金の料率、対象、計算、自主削減計画の申請ガイド。
6. 排出係数と電力排出係数
環境部は 2024 年 2 月 5 日に「温室効果ガス排出係数」を公示し、燃焼、工程、漏出の排出源別係数と地球温暖化係数を掲載しています。排出係数法でインベントリを作成する場合は、これに基づき計算します。公共電力小売事業者から購入した電力には、インベントリ作成・検証時点で経済部が公表している最新の電力排出係数を使用します。経済部エネルギー署は 2026 年 6 月 2 日、2025 年度(民国 114 年度)の公共電力小売事業者の電力排出係数を 1 kWh 当たり 0.467 kg CO₂e と公表し、産業用電力は 0.466、家庭・住宅用電力は 0.471 と別途定めました。過年度には別の規定があり、例えば 2023 年排出量の関連係数は「温室効果ガス排出係数管理表バージョン 6.0.4」を使用します(環境部 2024 年 6 月 6 日の解釈通達)。2026 年度(民国 115 年度)の電力排出係数はまだ公表されていません。
- 適用対象:排出係数法で排出量を計算する事業者。産業用係数は従量電灯の営業用、低圧、高圧、特別高圧の電力利用者に、家庭・住宅用係数は従量電灯の非営業用と定額電灯の利用者に適用されます。
- 重要日程:2026 年 6 月 2 日に 2025 年度(民国 114 年度)電力排出係数を公表。2026 年度(民国 115 年度)の係数はエネルギー署の公表内容に従います。
- 所管機関:環境部(温室効果ガス排出係数)、経済部エネルギー署(電力排出係数)。
- 公式出典:環境部 2024 年 2 月 5 日温室効果ガス排出係数公告、バージョン 6.0.4 の適用年度に関する解釈通達、事業者の温室効果ガス排出量情報プラットフォーム、経済部 2026 年 6 月 2 日プレスリリース、エネルギー署 2025 年度(民国 114 年度)電力排出係数。
- 当サイトの関連記事:公示された排出係数の適用年度、2025 年度(民国 114 年度)電力排出係数の解説、バージョン 6.0.4 の過年度での使い方。
7. 公開情報観測所(MOPS)と ESG デジタルプラットフォームでの申告
TWSE・TPEx 上場企業のサステナビリティ情報の提出は、公開情報観測所の申告システム(SII)にログインして行います。2024 年 5 月 6 日から、SII は TWSE の新版 ESG デジタルプラットフォームに接続し、「企業 ESG 情報開示」とサステナビリティレポートの提出に使用されています。上場企業の情報申告規則により、2022 年から毎年 6 月末までに ESG 情報を提出し、サステナビリティレポートは前述の規則に従って 8 月 31 日までに提出します。2026 年の申告では、温室効果ガス Scope 2 の計算方法(マーケット基準/ロケーション基準)やコーポレート・ガバナンス情報ページなどの指標が追加されました。開示が必須か推奨かは、業種と資本金によって異なります。提出確定後に訂正が必要な場合は、プラットフォームで訂正申請を行い、TWSE または TPEx の確認後に編集が可能になります。
- 適用対象:TWSE・TPEx 上場企業。
- 重要日程:毎年 6 月末までに ESG 情報、8 月 31 日までにサステナビリティレポートを提出。次回はそれぞれ 2027 年 6 月 30 日と 8 月 31 日です。
- 所管機関:台湾証券取引所、台北取引所。
- 公式出典:2026 年企業 ESG 情報開示申告マニュアル、TWSE 上場企業のサステナビリティレポート作成・提出規則。
- 当サイトの関連記事:ESG 申告の総合ガイド、TWSE ESG デジタルプラットフォーム、ESG デジタルプラットフォームのデータ訂正 4 ステップ。
8. カーボンクレジットと国内削減クレジット
台湾カーボン取引所は「気候変動対応法」第 36 条に基づき、台湾証券取引所と国家発展基金の共同出資で設立され、2023 年 8 月 7 日に開業しました。環境部の委託を受け、国内削減クレジットの取引とオークションを実施します。国内削減クレジットは環境部が発行し、自主削減、オフセット、早期実施プロジェクトの 3 種類に分かれ、同部の「温室効果ガス削減クレジット管理システム」で口座と移転を管理します。国内取引は 2024 年 10 月に始まり、固定価格取引、相対取引、オークションを採用しています。対象は排出増加分のオフセットや炭素賦課金の控除が必要な事業者で、個人は参加できません。炭素賦課金の課金対象排出量は、国内クレジットを使って最大 10% 控除できます。認定された国外クレジットは、カーボンリーケージリスクが高くない事業者に限り利用でき、上限は 5% です。いずれも毎年 5 月末までに無効化証明を添えて併せて申請する必要があります。
- 適用対象:削減クレジットを取得するプロジェクト実施者、および排出増加分のオフセットや炭素賦課金の控除が必要な事業者。
- 重要日程:炭素賦課金の控除に使う場合は毎年 5 月末までに併せて申請。次回は 2027 年 5 月末まで。
- 所管機関:環境部(削減クレジットの発行・管理)、台湾カーボン取引所(取引プラットフォームの運営受託)。
- 公式出典:台湾カーボン取引所、台湾カーボン取引所のクレジット取引概要(2025 年 10~11 月)、温室効果ガス削減クレジット管理システム、炭素賦課金徴収規則第 9~11 条。
- 当サイトの関連記事:台湾のカーボンクレジットの購入・利用方法、各国の炭素市場と台湾 ETS 試行計画。
次のステップ:スケジュールに沿ったデータ準備
- 2027 年 8 月 31 日提出のサステナビリティレポートを準備する場合は、Syber サステナビリティ管理システムがレポート用データを一元的に整理し、GRI と IFRS の開示項目に照合する方法をご覧ください。
- 毎年 4 月 30 日までにインベントリ登録を完了するには、DCarbon カーボンインベントリシステムで活動量データと証憑を整理し、インベントリ報告書を作成できます。正式な検証は引き続き検証機関が実施します。
各スケジュールは、所管機関の最新の公告に従います。
